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コラム

内視鏡検査の鎮静の流れ〜半分眠った状態で受ける安心検査

大腸カメラ  / 胃カメラ

「内視鏡検査は苦しい」という不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

実際に、過去に辛い経験をされた方や、初めての検査で緊張されている方にとって、検査前の不安は大きなものです。しかし、近年では「鎮静剤」を使用することで、半分眠ったような状態で楽に検査を受けられるようになりました。

当院では、患者様の不安を少しでも軽減し、安心して検査を受けていただけるよう、鎮静剤を用いた内視鏡検査を積極的に行っています。この記事では、鎮静剤を使用した内視鏡検査の流れ、検査中の感覚、覚醒までの時間、検査後の注意事項など、患者様が知っておくべき情報を詳しくご説明します。

鎮静は「当日の予定」までセットで考えると安心
鎮静を使う場合、検査後に休憩時間が必要になったり、運転ができないなど制限が出ることがあります。事前に流れを確認しておくと不安が和らぎます。
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鎮静剤を使った内視鏡検査とは?

鎮静剤を使用した内視鏡検査は、「セデーション」とも呼ばれます。

これは、鎮静剤や鎮痛剤を点滴から投与することで、意識レベルや痛みの感じ具合を低下させる処置です。完全に眠ってしまう「全身麻酔」とは異なり、ウトウトとした状態や、ボーっとした状態で検査を受けることができます。

鎮静剤の効果には個人差があります。ほとんどの方は意識がない状態で検査が可能ですが、少し検査中のことを覚えている方もいらっしゃいます。当院では、患者様の体調や希望に応じて、必要最低限の量から使用し、鎮静のかかり具合を評価しながら必要であれば追加投与を行います。

鎮静剤がおすすめの方

以下のような方には、特に鎮静剤の使用をおすすめしています。

  • 内視鏡検査に不安や恐怖がある方・・・過去に辛い経験があったり、初めてで怖いと感じている方
  • 嘔吐反射が強い方・・・オエッとなりやすい、内視鏡が苦手な方
  • 痛みや不安を軽減したい方・・・とにかく楽に検査を受けたい方
  • ストレスや緊張を避けたい方・・・血圧が高い、心疾患があるなど

当院では、胃カメラを受けた方の約45%、大腸カメラを受けた方の約88%が鎮静剤を希望されています。「リラックスしてボーっとしている間に終わってしまった」「寝ている間に終わってしまった」という感想になる方がほとんどです。

鎮静剤を使った胃カメラ検査の流れ

まずは、胃カメラ検査の具体的な流れを見ていきましょう。

受付から検査準備まで

来院いただきましたら、受付を済ませてお待ちください。初診の方はまず診察となります。

検査室へご案内後、まず胃の中の泡を消す液体(消泡剤)を飲んでいただきます。次に、検査時の苦しさを和らげるため、のどにゼリー状の麻酔を使います。これには約3分程度かかります。

鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)の方は、鼻の奥にも麻酔をかけていきます。鎮静剤を使用する方には、スプレー式の軽い麻酔を使うこともあります。

点滴と鎮静剤の投与

ご希望の方には、点滴をしながら鎮静剤(静脈麻酔)を行います。

鎮静剤は2〜3分で効いてきますので、楽な状態になったら検査を開始します。患者様それぞれのニーズに応じた麻酔の選択、量の調整を行い、安全面への配慮を徹底しています。

検査の実施

検査時間は5〜7分程度です。

鎮静剤を使用した場合は、眠ってしまい気づいたら検査は終わっていることがほとんどです。眠っている状態でも体にモニターをつけ全身状態をチェックしていきますので、安全に検査をお受けいただけます。

検査中は、血圧、心拍数、血中酸素飽和度などを一定の時間ごとに測定します。呼吸機能が低下する恐れがあるため、あらかじめ酸素吸入用のチューブを鼻に装着します。

検査後のリカバリー

検査後は、鎮静剤を使用した方はリカバリールームにてしばらく安静にしていただきます。

休憩時間は15〜30分程度ですが、鎮静の覚め具合によっては長くなることがあります。医師もしくは担当看護師が、鎮静からの覚醒が十分と判断したのち、歩行が可能となります。

結果説明

診察室にて、実際の胃カメラ画像をお見せしながら検査結果をご説明いたします。

来院から診察終了までの所要時間は、60〜90分程度です。混雑時には+20〜30分程度かかることもあります。

鎮静剤を使った大腸カメラ検査の流れ

大腸カメラ検査も、基本的な流れは胃カメラと同様ですが、前処置が必要になります。

前処置(腸管洗浄)

大腸の中をしっかりと見るためには、腸管洗浄剤(下剤)を使って大腸をきれいにする必要があります。

当院では、体への負担を減らすために、検査前日の下剤をなくし、当日朝の腸管洗浄剤の量も半分〜2/3程度で済む前処置薬を使用しています。また、液体が飲むのが苦手な方には、錠剤の前処置薬も選択いただけます。

前処置薬の服用場所については、患者様の環境に合わせて、ご自宅でもクリニックに来院しての服用のどちらでもお選びいただけます。ご自宅で飲む場合、洗浄剤の内服を開始して2〜3時間経ち、ひとしきり便が出てしまうと、後はあまり便意を感じなくなるので、電車などで来院できるようになります。

検査の実施

腸の洗浄が終わったら、いよいよ検査の準備になります。

大腸カメラの検査着にお着替えいただき、ベッドに横になっていただきます。ご希望の方には、点滴をしながら鎮静剤(静脈麻酔)を行います。鎮静剤は、「ぐっすりと眠った状態」や「苦痛を取り除いてボーっとして画面を見ながらの状態」など、患者様の希望に応じて量を調整します。

検査時間は10〜15分前後です。ポリープを切除する場合は、ポリープ1個につき追加で3〜5分程度かかります。鎮静剤を使用した場合には、体にモニターをつけ全身状態をチェックしながら安全に検査をお受けいただけます。

検査後のリカバリーと結果説明

静脈麻酔をした方は、20〜30分程度リカバリールームにてしばらく安静にしていただきます。

鎮静剤から覚めた後に、実際の大腸カメラ画像をお見せしながら検査結果をご説明いたします。前処置終了から診察終了までの所要時間は、60〜90分程度です。混雑時には+30分程度かかることがあります。

鎮静剤使用時の注意点と副作用

鎮静剤は検査を楽にする一方で、いくつかの注意点があります。

副作用について

鎮静剤は鎮静効果がある反面、呼吸が止まってしまう呼吸抑制やふらつき・頭痛がしばらく残存してしまう副作用もあります。

そのため、検査終了後1時間ほど休んでいただく必要があり、鎮静効果から回復していることを確認してからご帰宅いただきます。ただし、ふらつきが半日ほど残る場合があります。

運転に関する重要な制約

鎮静剤を使用した場合、自動車や自転車の運転はできません。

胃カメラで鎮静剤を使用した場合、検査終了後1時間以上経過し、かつ、薬の影響を全く感じない状態となれば運転が可能です。しかし、大腸カメラと同日に行う場合は、効果の長い鎮静剤を用いるため、当日の運転等はできません。

ご自身で運転をして来院された場合には、鎮静剤は使用いたしませんので、あらかじめご了承ください。鎮静剤をご希望の方は、終日お車や自転車の運転ができませんので、公共交通機関もしくは、ご家族に送迎いただきご来院してください。

検査結果の説明について

鎮静剤を使用した場合、検査後のことを覚えていないことがあります。

そのため、一部の医療機関では検査当日には検査結果の説明を行わない場合もあります。当院では、鎮静剤から十分に覚醒したことを確認した上で、検査結果をご説明しています。

鎮静剤使用時の同意と処置について

鎮静剤を併用した場合、患者様は検査中の意識がないため、検査中の内視鏡画面は見られませんし、意思表示ができません。

追加の検査や緊急処置が必要になった場合、医師はその処置に関する同意を鎮静中の患者様からは得ることができません。そのため、鎮静剤を希望される患者様は、検査担当医師が医学的根拠に基づいて追加の検査や処置が必要と判断した場合にその処置を行うことを、あらかじめご了承ください。

もしそういった場合でも処置は行わず検査を終了し、後日同意を確認のうえ再検査を希望される場合は、検査前に申し出てください。鎮静剤の中止は検査当日でも可能です。鎮静剤を希望されない場合は、当日看護師に申し出てください。

当院での鎮静剤使用の実績と安全性

当院では、豊富な経験を経て、患者様それぞれのニーズに応じた麻酔の選択、量の調整、安全面への配慮が蓄積され洗練されてきました。

2024年度は、胃カメラを受けた方の45%、大腸カメラを受けた方の88%が鎮静剤を希望され、使用しました。丁度よい鎮静剤の量は個人差があります。効きが良すぎたり、悪かったりする場合、次の検査ではカルテを元に調整して検査を行います。

当院では、これまで重大な副作用が起こった例はありません。呼吸抑制や血圧低下の事例報告や、検査後に眠気などが残ることがありますが、適切なモニタリングと経験豊富な医師・看護師による管理により、安全に検査を実施しています。

まとめ

鎮静剤を使用した内視鏡検査は、半分眠った状態で楽に検査を受けられる方法です。

当院では、患者様の不安を少しでも軽減し、安心して検査を受けていただけるよう、鎮静剤を用いた内視鏡検査を積極的に行っています。検査前の準備から、鎮静剤の投与、検査の実施、検査後のリカバリーまで、一貫して安全性を重視した体制を整えています。

鎮静剤の使用には、運転制限などいくつかの注意点がありますが、適切な管理のもとで使用すれば、非常に安全で快適な検査を受けることができます。内視鏡検査に不安をお持ちの方、過去に辛い経験をされた方は、ぜひ鎮静剤を使用した検査をご検討ください。

当院では、消化器内科専門医、消化器内視鏡専門医が複数在籍しており、検査から治療までを専門的に行っています。内視鏡検査に関するご質問やご不安がございましたら、お気軽にご相談ください。

次の一歩
当日の仕事・移動予定がある方は、鎮静の有無を含めて事前に相談しておくのがおすすめです(帰宅手段も確認しておくと安心です)。
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著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院