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コラム

便秘が続いて肛門がつらい|切れ痔を防ぐ対策と内視鏡で確認すべきサイン

肛門科

 

便秘が続くと、肛門周辺に強い痛みや不快感が生じます。

「排便のたびに痛くて辛い」「トイレに行くのが怖い」・・・そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。便秘による硬い便は肛門の皮膚を傷つけ、切れ痔(裂肛)を引き起こす最大の原因です。痛みのつらさから排便を我慢してしまい、ますます便秘が悪化する悪循環に陥ることもあります。

しかし、肛門からの出血や痛みは、必ずしも痔だけが原因とは限りません。大腸がんや潰瘍性大腸炎など、命に関わる病気のサインである可能性もあります。実際、便潜血検査陽性の場合、痔があるかどうかは大腸がんの発見率に影響しないことが知られています。

この記事では、消化器内科の専門医として、便秘による肛門トラブルの予防法から、内視鏡検査で確認すべき危険なサインまで、詳しく解説します。

便秘が肛門に与える影響とは

便秘で便が腸に留まる時間が長くなると、留まっている間に水分が吸収されて便がカチカチに硬くなってしまいます。

このような硬い便が出ることで、肛門の皮膚(肛門上皮)が切れて切れ痔が生じるのです。切れ痔は、肛門の皮膚が切れたり裂けたりしてできた傷のことで、排便時に強い痛みがあったり、ペーパーでおしりを拭いたら血が付いていたりというように、痛みと少量出血が生じるのが主な症状です。

特に女性は便秘になりやすく、慢性的な切れ痔に移行しやすい傾向があります。

痛みのつらさで排便を我慢してしまうため、ますます便秘になるケースも少なくありません。それを繰り返すと裂肛が慢性化して傷が深くなり、ただれた状態の潰瘍になったり、傷の上のほうに肛門ポリープができたりしてしまうこともあります。

また、座りっぱなしの姿勢が長時間続くと、肛門まわりが蒸れることも、実はバリア機能の低下につながります。おしりが蒸れると皮膚の角質層はふやけて剥がれやすくなり、同時に皮膚の保湿成分が溶け出してしまい、また皮膚からの水分蒸発も防げなくなってしまうため、結果的に皮膚の乾燥に繋がってしまうのです。

切れ痔を防ぐための具体的な対策

切れ痔を治すには、一番の大敵である便秘を改善することが大切です。

食生活を見直す

ヨーグルトや納豆など善玉菌そのものや、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維をとるなど、腸内の善玉菌を増やす食生活を意識しましょう。食物繊維は、穀類、野菜、果物、穀物、海藻、きのこ、豆類などの植物性の食品に多く含まれています。

食物繊維は、普段から意識していないと摂ることが難しいです。意識的にこうした食品を食事に取り入れてみましょう。また、辛い食べもの、アルコールなどは腸を刺激するため、控えるようにしましょう。

水分を多めにとる

腸の内容物の水分は、腸壁からどんどん吸収されるため、水分が不足すると便が硬くなってしまいます。

そうならないためにもこまめに水分を補給し、成人で1日約2Lの水分をとるよう心がけましょう。便は腸壁からどんどん水分が吸収されていくため、水分が不足すると便が硬くなってしまいます。

適度な運動を行う

運動不足により、体力や筋力が低下することでも便秘が起こります。日常的に運動をする習慣を取り入れるだけで症状を改善することができます。

便秘に一番関係する筋肉は腹筋です。腹筋が衰えてしまうと、便をスムーズに押し出す力が弱くなります。また、腹筋が弱まると腸の緊張が低下してしまい、蠕動運動も弱くなってしまいます。

適度な運動は、血流を促進してくれて、胃腸の動きが良くなりますので便秘に効果的と言われています。ときどき立って軽い体操をするなど、座りっぱなしが長時間続かないように気を付けましょう。

睡眠をしっかりとる

睡眠時やリラックスしている時に働く副交感神経が消化管の働きを活発にしてくれるので、便秘に効果的と言われています。

ストレスをためない精神的なストレスにより自律神経が乱れ、腸の働きが悪くなることもあります。なるべくストレスはためずに自分なりのストレス解消法をみつけましょう。

排便後のケアと座りっぱなし生活の改善

おしりはていねいに拭く

肛門は、便のカスなどが残ったままにならないように、普段から丁寧に拭くようにしましょう。

ただし、ゴシゴシこするのではなく、紙を押しあてるようにして優しく拭くようにしましょう。紙でゴシゴシこすると、肛門のシワやくぼみの中に便をすりこんでしまいます。さらに、皮膚が刺激されて、かえって痔の症状をひどくしてしまいます。

また、排便後には紙で拭くだけで充分ですが、便の質や年齢などによっては、何度も吹かなければ便がとれにくいこともあります。こうした場合はトイレの温水洗浄機能を使って洗うようにしましょう。

温水洗浄便座の適切な使用

ただし、おしりの皮膚はデリケートなので、強い水圧で洗ったり、洗いすぎてしまうと皮膚炎を起こしてしまうこともあるので注意が必要です。

ウォシュレットのシャワーを当てた後も、ゴシゴシとこすって水分を拭きとるのではなく、押し当てるようにして優しく拭きとりましょう。最近は、「温水洗浄便座がないと便が出にくい」という人も増えていますが、日常的にそのような用途で使っていると、「温水洗浄便座症候群」になってしまう可能性があります。

温水洗浄便座症候群とは、洗いすぎて皮膚炎を起こしてしまったり、温水洗浄便座機能を浣腸的に使うことで、だんだん刺激がないと便が出にくくなったりすることをいいます。温水洗浄便座の使用方法や回数にも注意しましょう。

座りっぱなしの姿勢を避ける

長時間座りっぱなしの姿勢などで、肛門まわりが蒸れることも、実はバリア機能の低下につながります。

そうならないよう、ときどき立って軽い体操をするなど、座りっぱなしが長時間続かないように気を付けましょう。デスクワークが多い方は、1時間に1回程度は立ち上がって軽くストレッチをすることをお勧めします。

痔ではない肛門出血|見逃してはいけないサイン

トイレで用を足した後、便器の水が真っ赤になっていたら、誰もが驚くでしょう。

「痔だろう」と自己判断してしまう方は少なくありません。しかし、肛門からの出血は痔だけが原因ではなく、大腸がんや潰瘍性大腸炎など、命に関わる病気のサインである可能性もあります。

血便の色と出方で疑われる病気

排便時にポタポタと鮮血が垂れる、あるいは紙に付着する程度の出血は、内痔核である可能性が最も高いです。内痔核は肛門の痛みを感じない部分にできるため、出血があっても痛みを伴わないことが特徴です。

しかし、同じ鮮血でも直腸がんやS状結腸がんからの出血である可能性も否定できません。特に肛門に近い直腸がんの場合、いぼ痔からの出血と非常に似た症状を呈するため、自己判断は危険です。

赤黒い血液や黒いタール便が見られる場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など上部消化管からの出血が疑われます。血液が消化管内で時間をかけて酸化するため、黒ずんだ色になるのです。

粘血便や血液が混じった下痢

粘液と血液が混じった便や、頻回の血性下痢が見られる場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、あるいは感染性腸炎の可能性があります。

これらの疾患では、腹痛や発熱を伴うことが多いです。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、血便や粘血便、頻回の下痢、腹痛などの症状が特徴です。

内視鏡検査で確認すべき危険なサイン

内視鏡検査は、肛門出血の原因を正確に診断するための最も有効な検査方法です。

大腸がん・大腸ポリープ

大腸がんは、日本人が最も多く罹患するがんです。年間15万人以上が診断され、がん罹患全体の15.6%を占めています。また、年間5万3千人以上が大腸がんで亡くなっており、肺がんに次いで2番目に多い死因となっています。

大腸がんの最大の特徴は、早期には症状がほとんど出ないことです。多くの方が「自分は大丈夫」と思いがちですが、自覚症状のない時にこそ検診を受けることが重要です。早期に発見できれば、5年生存率は93%と非常に高く、治癒の可能性が大きく広がります。

大腸がんからの出血は、真っ赤な鮮血というよりも「少し赤黒い」「どろっとしている」「便に混ざっている」と表現されることが多いです。しかし、直腸がんのように肛門に近い部位のがんでは、いぼ痔と見分けがつかない鮮血が出ることもあります。

潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、血便や粘血便、頻回の下痢、腹痛などの症状が特徴です。

内視鏡検査では、直腸に特徴的な粘膜の変化が観察されます。クローン病も炎症性腸疾患の一つで、口から肛門まで消化管全体に炎症が起こる可能性があります。血便のほか、腹痛、発熱、体重減少、肛門病変などが見られます。

大腸憩室出血

大腸憩室は、大腸の壁が外側に袋状に飛び出した状態です。憩室そのものは無症状ですが、憩室内の血管が破れると突然の大量出血を起こすことがあります。

憩室出血は、便も痛みも伴わず、血液のみが大量に出ることが特徴です。高齢者に多く見られ、緊急の内視鏡検査と止血処置が必要になることがあります。

当院での内視鏡検査の特徴

大阪消化器内科内視鏡クリニックでは、日本内視鏡学会認定の内視鏡専門医による高品質な内視鏡検査サービスを提供しています。

鎮静剤を使用した無痛内視鏡検査

患者の苦痛や不安を軽減するために鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」を標準的に提供しています。

初めての内視鏡検査で痛みや苦しさが心配な方も安心していただけるよう、ウトウトと半分眠ったような状態になる麻酔をご用意しております。恐怖心もほとんど感じることがなく、「気づいたら終わっていた」という感覚で検査を終えられます。

最新の内視鏡システム

オリンパス社製の最上位機種「EVIS X1」を導入し、NBI(狭帯域光法)、RDI(赤色光観察)、EDOF(被写界深度拡大技術)などの先端技術を駆使して、消化管がんなどの早期発見に努めています。

粘膜表層の毛細血管や粘膜微細模様を強調するNBI、粘膜深層の血管や出血の可視性を高めるRDI、リアルタイムで焦点範囲の広い画像を得るEDOFといった先端技術が、がんなどの病変の早期発見に大いに貢献します。

経口・経鼻の選択が可能

経口だけでなく嘔吐反射の少ない経鼻内視鏡にも対応し、患者の状態や希望に合わせた検査方法を選択できます。

口から挿入する経口内視鏡だけでなく、鼻から挿入する、嘔吐反射の起こりにくい経鼻内視鏡にも対応します。咽頭、食道、胃、十二指腸の粘膜を観察し、逆流性食道炎、食道がん、胃炎、胃潰瘍、胃がん、十二指腸がんなど、さまざまな病気の早期発見が可能です。

すぐに病院に来てほしい症状

以下のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。

排便時以外にも出血がある場合

排便時だけでなく、日常生活の中で肛門からの出血が見られる場合は、重大な疾患の可能性があります。

特に、便も痛みも伴わず血液のみが大量に出る場合は、大腸憩室出血などの緊急性の高い状態が疑われます。

大量出血や我慢できない痛みを伴う場合

大量の出血や耐え難い痛みを伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください。

また、体重が減少する要因がないにも関わらず、1ヶ月で3~4kg前後の体重減少がみられた場合には、早急に医療機関を受診する必要があります。立ちくらみやめまい、顔色が青白い、疲れやすさ、息切れがあるなどの症状が見られたら要注意です。

便通異常を伴う出血

便秘や下痢が繰り返される、便が細くなった、便が少なくなった、排便後にも便が残る感じがするなど、排便習慣の変化も重要なサインです。

特に、硬便でも通りやすい下行結腸やS状結腸、直腸部位では、がんによって便の通りが悪くなることで腹痛や腹痛にともなう嘔吐症状が引き起こされやすくなります。排便習慣の変化がある場合は早めに受診しましょう。

まとめ

便秘による肛門トラブルは、生活習慣の見直しで予防できることが多いです。

食生活の改善、適度な運動、水分補給、正しい排便後のケアなど、できることから始めてみましょう。ただし、慢性的に便秘や下痢が続く場合は、病気の可能性もありますので、肛門のためにも、大腸のためにも、一度検査をすることをお勧めします。

また、逆にどうせ切れ痔だろうと思って放って置いたら、奥に大腸がんが隠れていた・・・なんてこともあります。おしりからの出血が続く場合も一度肛門科、大腸検査を受けましょう。

大阪消化器内科内視鏡クリニックでは、なんば駅直結ビルに位置し、平日・土日祝日も診療しています。鎮静剤を使用した無痛内視鏡検査、最新の内視鏡システム、経口・経鼻の選択が可能な検査体制を整えています。

便秘や肛門トラブルでお悩みの方、血便や排便異常が気になる方は、お気軽にご相談ください。詳細はこちら:大阪消化器内科内視鏡クリニック

著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院