TOPへ

Language言語切替

コラム

痛みのない血便こそ要注意|見逃しやすい大腸疾患の兆候

大腸カメラ

痛みのない血便こそ要注意|見逃しやすい大腸疾患の兆候

痛みのない血便が示す危険な兆候

便に血が混じっているのを発見したとき、多くの方は不安を感じるものです。特に痛みを伴わない血便は、「痛くないから大したことはない」と思いがちですが、実はこれこそ要注意のサインかもしれません。

私は消化器内科医として長年診療を行ってきましたが、痛みのない血便を軽視して受診が遅れ、重大な病気が進行していたケースを数多く経験してきました。

血便は体からの重要なメッセージです。特に痛みを伴わないものは、大腸がんなど深刻な疾患の初期症状である可能性があります。この記事では、痛みのない血便の原因と、見逃してはならない大腸疾患の兆候について詳しく解説します。

あなたやご家族の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

血便の種類と見分け方

血便といっても、その色や状態はさまざまです。出血している場所によって便の色が変わるため、その特徴を知ることが重要です。

鮮やかな赤色の血便は、主に肛門に近い大腸からの出血を示します。一方、黒っぽい便や真っ黒なタール状の便(下血と呼ばれます)は、胃や十二指腸など上部消化管からの出血が考えられます。

便に血が混じる状態を「血便・下血」と呼びますが、これは消化管のどこかで出血が起きていることを意味します。

痛みのない血便で特に注意すべきなのは、便と血液が混ざった状態のものです。これは大腸の奥深くで出血している可能性があり、大腸がんや大腸ポリープなどの兆候かもしれません。

痛みのある血便と痛みのない血便の違い

血便には、排便時に痛みを伴うものと伴わないものがあります。この違いは、病気の種類を推測する重要な手がかりになります。

痛みを伴う血便の代表例は、外痔核(いわゆるいぼ痔)や裂肛(切れ痔)です。これらは肛門の病気であり、排便時に痛みと出血を伴うことが特徴です。

一方、痛みのない血便は、内痔核や大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎などが原因となります。これらは肛門から離れた場所で出血しているため、排便時に痛みを感じないことが多いのです。

あなたは血便を見つけたとき、「痛くないから大丈夫」と思ったことはありませんか?

痛みのない血便で疑うべき疾患

痛みのない血便が見られる場合、いくつかの疾患が考えられます。ここでは、特に注意すべき代表的な疾患について解説します。

内痔核(いぼ痔)

内痔核は、肛門と直腸の境目にある歯状線より内側にできるいぼ痔のことです。排便時に出血することがありますが、痛みはほとんど感じません。多くの場合、トイレットペーパーに鮮血が付着する程度ですが、時に便器が赤く染まるほどの出血をすることもあります。

内痔核は生命に関わる病気ではありませんが、出血が続くと貧血の原因になることがあります。また、他の重大な病気の可能性も排除するために、一度は医療機関での診察を受けることをお勧めします。

大腸ポリープ・大腸がん

大腸ポリープや大腸がんは、初期段階ではほとんど症状がありません。しかし、ポリープやがんが大きくなると、便と擦れることで出血することがあります。この出血は通常痛みを伴わず、便に血が混じる形で現れます。

大腸がんは早期発見・早期治療が非常に重要です。痛みのない血便を見つけたら、「痔だろう」と自己判断せず、一度は大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。

特に40歳以上の方や、大腸がんの家族歴がある方は、定期的な大腸がん検診が重要です。便潜血検査で陽性となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も、痛みのない血便の原因となることがあります。これらの疾患では、腸管に慢性的な炎症が起こり、粘液や血液の混じった下痢が主な症状となります。

炎症性腸疾患は、腹部の痛みを伴うこともありますが、初期段階では血便のみが症状として現れることもあります。若年層に多い病気ですので、若い方で原因不明の血便が続く場合は、これらの疾患も考慮する必要があります。

特に注意すべき「虚血性大腸炎」

虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈の血流が一時的に低下または遮断されることで起こる疾患です。この病気は、痛みのない血便の重要な原因の一つです。

典型的な症状は、突然の左下腹部の痛みで始まり、その後に下痢や血便が生じます。血便の量は多く、便器が真っ赤になるほどのこともあり、患者さんが驚いて救急車で来院されることも珍しくありません。

虚血性大腸炎は、「便秘になりがちな高齢の女性」に多い病気ですが、近年は若い方にも増えています。特に、便秘で強くいきむ習慣がある方は注意が必要です。強くいきむことで腹圧がかかり、大腸への血流が低下して虚血性大腸炎を引き起こすことがあるのです。

あなたは便秘のときに力んでいませんか?それが思わぬ病気を招くかもしれません。

虚血性大腸炎の治療と予防

虚血性大腸炎の治療は、基本的には絶食と点滴による腸管の安静が中心です。炎症が強い場合は抗生剤を使用することもあります。多くの場合、適切な治療を行えば1〜2週間程度で回復します。

しかし、この病気は4人に1人程度の割合で再発しやすいという特徴があります。予防のためには、便秘の改善や生活習慣病のコントロールが重要です。食物繊維を多く含む食事や適度な水分摂取、規則正しい生活習慣を心がけましょう。

重症の場合、腸管が壊死したり狭窄を起こしたりして手術が必要になることもありますが、そのような症例は稀です。

痛みのない血便を見つけたらどうすべきか

痛みのない血便を発見したら、まずは冷静に対応することが大切です。以下に、具体的な対応方法をご紹介します。

すぐに受診すべき状況

以下のような場合は、早急に医療機関を受診してください:

  • 大量の出血がある場合
  • 血便が継続的に見られる場合
  • 血便に加えて、発熱や激しい腹痛がある場合
  • 急激な体重減少や強い倦怠感がある場合
  • 貧血症状(めまい、動悸、息切れなど)がある場合

特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、症状が軽くても早めの受診をお勧めします。

適切な医療機関の選び方

血便の精査には、消化器内科や肛門科のある医療機関がおすすめです。特に大腸カメラ検査ができる施設を選ぶと、その場で検査から診断までスムーズに進むことができます。

大腸カメラ検査は、鎮静剤(麻酔)を使用することで苦痛を最小限に抑えることができます。以前に大腸カメラで苦しい思いをした方も、鎮静剤を使用する施設であれば、ほとんど苦痛を感じることなく検査を受けることが可能です。

当院では、日本内視鏡学会認定の内視鏡専門医による胃カメラ・大腸カメラ検査を提供しており、鎮静剤を使用した無痛内視鏡検査を標準的に行っています。

血便が見られたら、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、専門医による適切な検査を受けることが大切です。

血便を予防するための生活習慣

血便の原因となる疾患を予防するためには、日常生活での心がけが重要です。以下に、効果的な予防法をご紹介します。

食生活の改善

便秘の改善や腸内環境の整備には、バランスの良い食事が欠かせません。特に以下の点に注意しましょう:

  • 食物繊維を豊富に含む野菜、果物、全粒穀物を積極的に摂取する
  • 適切な水分摂取を心がける(1日1.5〜2リットル程度)
  • 脂肪の多い食品や加工食品の摂取を控える
  • 塩分の摂りすぎに注意する
  • 発酵食品(ヨーグルト、納豆など)を取り入れる

食物繊維は便のかさを増し、腸の運動を促進する効果があります。これにより、便秘の改善や大腸への負担軽減につながります。

適度な運動と生活習慣

運動不足は便秘の原因となり、間接的に血便リスクを高めることがあります。適度な運動は腸の動きを活発にし、便通を改善する効果があります。

また、排便習慣も重要です。便意を感じたら我慢せず、トイレに行くようにしましょう。便秘時に強くいきむことは避け、必要に応じて医師に相談して適切な便秘薬を処方してもらうことも検討してください。

ストレスも腸の動きに影響を与えることがあります。リラクゼーション法や十分な睡眠など、ストレス管理も大切です。

定期的な検診の重要性

大腸がんは早期発見・早期治療が可能ながんの一つです。特に40歳以上の方は、定期的な大腸がん検診を受けることをお勧めします。

便潜血検査は、目に見えないわずかな出血も検出できる検査です。この検査で陽性となった場合は、必ず精密検査(大腸カメラ検査)を受けましょう。

「痔だから」と自己判断して精密検査を受けなかったために、大腸がんの発見が遅れるケースが少なくありません。便潜血検査で陽性となった場合は、必ず医師の指示に従って精密検査を受けることが重要です。

当院では、最新の内視鏡システムを用いた高精度な検査と、鎮静剤による苦痛の少ない検査を提供しています。検査に対する不安や疑問がある方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

痛みのない血便は、内痔核のような比較的軽度の疾患から、大腸がんのような重大な疾患まで、様々な原因で生じる可能性があります。「痛くないから大丈夫」と軽視せず、医療機関での適切な検査を受けることが大切です。

特に注意すべき疾患として、大腸ポリープ・大腸がん、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎などがあります。これらの疾患は早期発見・早期治療が重要であり、定期的な検診と生活習慣の改善が予防につながります。

血便が見られたら、まずは消化器内科や肛門科のある医療機関を受診し、専門医の診察を受けましょう。当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない内視鏡検査を提供しており、患者さんの不安や負担を最小限に抑えた診療を心がけています。

あなたの健康を守るために、些細な体の変化も見逃さず、適切な医療を受けることが大切です。血便でお悩みの方は、ぜひ一度、専門医にご相談ください。

詳しい検査や診療についてのご質問は、大阪消化器内科内視鏡クリニックまでお気軽にお問い合わせください。経験豊富な内視鏡専門医が、あなたの健康をサポートいたします。

著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院