胃痛はストレスではなく生活習慣が主因|最新研究が示す真実
胃痛はストレスではなく生活習慣が主因|最新研究が示す真実

胃痛の真の原因とは?ストレス神話を超えて
胃痛に悩まされたとき、多くの方が「ストレスのせいだろう」と考えがちです。確かにストレスが胃の不調を引き起こすことはありますが、最新の研究では、胃痛の主な原因は私たちの日々の生活習慣にあることが明らかになっています。
胃痛は単なる不快感ではなく、体からの重要なサインです。適切な対処をするためには、その真の原因を理解する必要があります。
消化器内科専門医として数多くの胃痛患者を診てきた経験から言えることは、胃痛の背後には複合的な要因が隠れているということです。ストレスだけを原因と考えて対処していては、根本的な解決にはなりません。
胃痛と生活習慣の密接な関係
胃痛の原因として最も見落とされがちなのが、日々の食習慣です。
現代の食生活は、胃に大きな負担をかけています。早食い、不規則な食事時間、過食、脂質の多い食事、刺激物の摂取など、これらはすべて胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。特に日本人に多い塩分の高い食事や熱すぎる飲食物は、胃粘膜への直接的なダメージとなります。消化器内科の臨床現場では、食習慣の乱れが胃痛の主要因である患者さんが非常に多いのが現状です。
また、睡眠不足も胃痛と密接に関連しています。質の良い睡眠が不足すると、体の回復機能が低下し、胃粘膜の修復が十分に行われません。その結果、胃酸による粘膜へのダメージが蓄積し、慢性的な胃痛につながるのです。

さらに、運動不足も胃痛を悪化させる要因の一つです。適度な運動は消化管の動きを促進し、ストレスホルモンの分泌を抑制する効果があります。逆に言えば、運動不足は消化不良や胃の機能低下を招き、胃痛のリスクを高めるのです。
あなたは最近、どのような食事をしていますか?
ピロリ菌感染と胃痛の関係
胃痛の原因として見逃せないのが、ピロリ菌の存在です。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃の中に生息する細菌で、日本人の中高年層では約50%が感染していると言われています。この菌は胃の粘膜に炎症を引き起こし、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となることが明らかになっています。
ピロリ菌感染による胃痛は、食事とは無関係に起こることが特徴です。空腹時や夜間に痛みを感じることが多く、食事をすると一時的に痛みが和らぐケースもあります。このような症状がある場合は、ピロリ菌検査を受けることをお勧めします。

当クリニックでは、最新の内視鏡検査によるピロリ菌の検査と、必要に応じた除菌治療を行っています。ピロリ菌の除菌成功率は90%以上と高く、除菌によって胃痛が劇的に改善するケースも少なくありません。
薬剤性胃痛の増加
近年、薬剤の使用による胃痛が増加しています。
特に注意が必要なのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる鎮痛剤です。ロキソニンやボルタレンなどの市販薬も含まれます。これらの薬は胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑制するため、長期使用により胃粘膜が傷つき、胃痛や胃潰瘍を引き起こすことがあります。
また、ステロイド薬や抗がん剤なども胃粘膜への影響が大きいことが知られています。これらの薬を服用している方は、胃薬の併用や定期的な胃の検査が重要です。
薬剤性の胃痛は、服用を中止することで改善することが多いですが、自己判断での中止は危険です。必ず医師に相談しましょう。
ストレスと胃痛の関係を再考する
ストレスが胃痛の唯一の原因ではないことは明らかですが、ストレスが胃の健康に影響を与えることも事実です。
ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、胃酸の過剰分泌や胃の運動機能の低下が起こります。また、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加すると、胃粘膜の防御機能が低下し、胃酸による粘膜へのダメージを受けやすくなります。しかし、ストレスだけで慢性的な胃痛が続くケースは比較的少なく、多くの場合は他の要因と組み合わさって症状が現れます。
私の臨床経験では、ストレスが胃痛を悪化させる「引き金」となることはあっても、それだけが主要因であるケースは少ないのです。むしろ、基礎にある生活習慣の乱れやピロリ菌感染などの上に、ストレスが加わることで症状が顕在化するパターンが多く見られます。
ストレスだけを原因と考えて対処していると、根本的な問題解決から遠ざかってしまいます。
あなたの胃痛、本当にストレスだけが原因だと思いますか?
機能性ディスペプシアという新たな視点
胃カメラ検査をしても明らかな異常が見つからないのに胃痛や胃もたれが続く状態を、「機能性ディスペプシア」と呼びます。
この状態は、胃の運動機能の低下や胃の知覚過敏(わずかな刺激でも強く感じてしまう状態)が原因と考えられています。以前は「神経性胃炎」などと呼ばれ、ストレスが主因と考えられていましたが、最新の研究では生活習慣の乱れや遺伝的要因、腸内細菌叢の変化なども関与していることがわかってきました。
機能性ディスペプシアの患者さんには、食事指導や適切な薬物療法、生活リズムの改善などを組み合わせた総合的なアプローチが効果的です。単にストレス対策だけでは改善が難しいケースが多いのが特徴です。
胃痛改善のための生活習慣改革
胃痛の根本的な解決には、生活習慣の見直しが不可欠です。
まず取り組むべきは食習慣の改善です。規則正しい時間に、腹八分目を心がけましょう。早食いを避け、よく噛んで食べることで消化を助けます。また、刺激物や脂質の多い食品、熱すぎる飲食物を控えることも重要です。特に就寝前の食事は胃に負担をかけるため、寝る3時間前までには食事を終えるようにしましょう。
私が患者さんによく勧めているのは、「胃に優しい食事」の実践です。具体的には、消化のよい炭水化物(お粥やうどんなど)、蒸した野菜、脂質の少ないタンパク質(鶏むね肉や白身魚など)を中心とした食事です。これらは胃への負担が少なく、粘膜の修復を助ける栄養素も含まれています。

次に重要なのは、規則正しい生活リズムの確立です。特に質の良い睡眠は胃の回復に不可欠です。毎日同じ時間に起床・就寝し、睡眠前のスマートフォンやパソコンの使用を控えることで、睡眠の質を高めることができます。
適度な運動も胃の健康に寄与します。激しい運動は避け、ウォーキングやヨガなどの軽い運動を定期的に行うことで、消化機能の改善や自律神経のバランス調整に役立ちます。
これらの生活習慣の改善は、すぐに効果が現れるものではありません。しかし、継続することで徐々に胃の状態は改善していきます。私の患者さんの多くは、3ヶ月程度の生活習慣改善で胃痛の頻度や強さが大幅に軽減しています。
あなたも今日から、胃に優しい生活を始めてみませんか?
胃痛に効果的な食事療法
胃痛改善のための食事療法は、単に刺激物を避けるだけではありません。
胃粘膜の修復を促進する栄養素を積極的に摂取することも重要です。例えば、ビタミンA(レバーや緑黄色野菜に多く含まれる)やビタミンE(ナッツ類や植物油に多く含まれる)は胃粘膜の保護に役立ちます。また、亜鉛(牡蠣や赤身肉に多く含まれる)は粘膜の修復を促進します。
発酵食品も胃の健康に良いとされています。味噌や納豆、キムチなどの発酵食品に含まれる乳酸菌は、腸内環境を整え、間接的に胃の健康にも寄与します。ただし、キムチなど刺激の強いものは、急性期の胃痛には不向きな場合もあるので注意が必要です。
水分摂取も忘れてはなりません。適切な水分は胃酸を薄め、粘膜を保護する粘液の生成を助けます。特に朝起きたときと食事の1時間前に常温の水を飲むことをお勧めします。
医療機関を受診すべき胃痛のサイン
胃痛の中には、早急な医療介入が必要なケースもあります。
以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。急激に始まる強い胃痛、吐血や黒色便(消化管出血の可能性)、胃痛に伴う呼吸困難や冷や汗、胸痛、急激な体重減少、45歳以上で初めて生じる持続する胃痛などは、重大な疾患のサインかもしれません。
また、2週間以上続く胃痛や、市販薬で改善しない胃痛も、専門医による評価が必要です。胃痛の背後には、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍だけでなく、胆石症や膵炎、さらには胃がんなどの重大な疾患が隠れている可能性もあります。
特に胃がんは初期症状が乏しく、軽度の胃痛や胃もたれだけのことも少なくありません。日本人は胃がんの発症率が高いため、定期的な胃カメラ検査が推奨されています。
当クリニックでは、最新の内視鏡機器を用いた精密検査と、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査を提供しています。胃の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
内視鏡検査の重要性
胃痛の原因を正確に診断するためには、内視鏡検査(胃カメラ)が最も信頼性の高い方法です。
胃カメラ検査では、胃の粘膜の状態を直接観察することができ、炎症や潰瘍、腫瘍などの異常を発見することができます。また、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して、詳細な検査を行うこともできます。
「胃カメラは辛い」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、現在の胃カメラ検査は大きく進化しています。当クリニックでは、鎮静剤(麻酔)を使用した「無痛内視鏡検査」を標準的に提供しており、検査中の苦痛をほとんど感じることなく検査を受けることができます。また、嘔吐反射の少ない経鼻内視鏡も選択可能です。
さらに、最新の内視鏡システム「EVIS X1」を導入しており、特殊な光を用いて通常では見えにくい微細な病変も発見できるようになっています。これにより、早期胃がんなどの発見率が向上しています。
まとめ:胃痛との上手な付き合い方
胃痛の主な原因は、ストレスではなく生活習慣にあることが最新の研究で明らかになっています。食習慣の乱れ、睡眠不足、運動不足、ピロリ菌感染、薬剤の影響など、様々な要因が胃痛を引き起こしています。
胃痛の根本的な解決には、これらの要因に対する包括的なアプローチが必要です。規則正しい食生活、質の良い睡眠、適度な運動などの生活習慣の改善が基本となります。また、必要に応じてピロリ菌検査や内視鏡検査を受け、専門的な治療を行うことも重要です。
ストレスも胃痛の一因となりますが、それだけを原因と考えるのではなく、生活習慣全体を見直す視点が大切です。胃痛は体からのサインです。このサインを正しく理解し、適切に対処することで、胃の健康を取り戻しましょう。
当クリニックでは、最新の医療機器と専門的知識を活かし、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な診断と治療を提供しています。胃の不調でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳しい情報や予約については、大阪消化器内科内視鏡クリニックの公式サイトをご覧ください。
著者情報
理事長 石川 嶺

経歴
| 近畿大学医学部医学科卒業 |
| 和歌山県立医科大学臨床研修センター |
| 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科 |
| 近畿大学病院 消化器内科医局 |
| 石川消化器内科内視鏡クリニック開院 |

