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コラム

胃痛は心の声?ストレスと消化器症状の意外な関連性

胃カメラ

胃痛は心の声?ストレスと消化器症状の意外な関連性

ストレスが消化器に与える影響とは?

「最近、胃が痛むけど、ストレスのせいかな…」と感じたことはありませんか?

現代社会を生きる私たちにとって、ストレスは避けられないものになっています。仕事の締め切り、人間関係のもつれ、将来への不安…。これらのストレスが私たちの体、特に消化器官に大きな影響を及ぼしていることをご存知でしょうか。

実は、脳と消化器官は密接につながっており、心の状態が胃腸の調子に直結するのです。これは「脳腸相関」と呼ばれる現象で、ストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、消化器の機能に様々な影響が現れます。

消化器内科医として多くの患者さんを診てきた経験から言えることは、ストレスによる胃腸の不調は決して「気のせい」ではないということです。科学的にも、ストレスホルモンが胃酸の分泌を促進したり、腸の動きを乱したりすることが証明されています。

しかし、ただ「ストレスだから仕方ない」と諦めてしまうのは危険です。ストレスからくる体調不良と思っていた症状が、実は見逃してはいけない消化器疾患のサインである可能性もあるのです。

ストレスで起こる主な消化器症状

ストレスが引き金となって現れる消化器症状は多岐にわたります。どのような症状があるのか、具体的に見ていきましょう。

まず最も一般的なのが「胃痛」です。ストレスを感じると交感神経が優位になり、胃の血流が減少します。すると胃の粘膜が弱まり、胃酸から自分自身を守る力が低下するのです。

また、「胸やけ」や「胃もたれ」もストレスによって引き起こされることが多い症状です。ストレスによって食道括約筋の機能が低下すると、胃酸が食道に逆流しやすくなります。これが胸やけの原因となるのです。

下痢や便秘といった排便トラブルもストレスと深い関わりがあります。腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど神経細胞が豊富に存在する臓器です。ストレスを感じると腸の動きが過敏になったり、逆に鈍くなったりして、便通に影響が出るのです。

さらに、食欲不振や吐き気といった症状も現れることがあります。

これらの症状は一時的なものであれば心配ありませんが、長期間続く場合は注意が必要です。なぜなら、単なるストレス反応だと思っていた症状が、実は消化器疾患の初期症状である可能性もあるからです。

どのような場合に医療機関を受診すべきでしょうか?

症状が2週間以上続く場合、痛みが強くなる場合、体重が急に減少した場合、血便がある場合は、すぐに消化器内科を受診することをお勧めします。

ストレスが引き起こす消化器疾患

ストレスは一時的な消化器症状だけでなく、様々な消化器疾患の発症や悪化にも関わっています。代表的なものをいくつか見ていきましょう。

機能性ディスペプシア

胃もたれや胃の膨満感、みぞおちの痛みといった症状が続くにもかかわらず、内視鏡検査などで異常が見つからない状態を「機能性ディスペプシア」と呼びます。

これは胃の運動機能や知覚機能の異常が原因と考えられており、ストレスがその発症や症状の悪化に大きく関わっています。

過敏性腸症候群(IBS)

腹痛と下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」もストレスと密接に関連しています。

この疾患は腸の運動や知覚の異常が原因と考えられており、ストレスを感じると症状が悪化することが特徴です。実際、私の診療経験でも、試験前の学生さんや重要なプレゼンを控えた会社員の方が症状を訴えることが多いと感じています。

過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、日常生活の質を著しく低下させることがあります。トイレの場所が気になって外出できなくなったり、仕事や学校に集中できなくなったりするケースも少なくありません。

ストレス性胃炎

強いストレスが続くと、胃の粘膜に炎症が起こる「ストレス性胃炎」を発症することがあります。

初期は軽い胃の不快感だけですが、放置すると胃痛や吐き気、食欲不振などの症状が現れます。さらに症状が進行すると、胃潰瘍へと発展するリスクもあるのです。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

過度なストレスや不規則な生活習慣が続くと、胃酸の分泌が過剰になり、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍が形成されることがあります。

潰瘍が進行すると、胃や腸の壁に穴が開く「穿孔」という危険な状態になることもあります。これは激しい腹痛や発熱、ショック症状を引き起こす緊急事態です。

ストレスと消化器疾患の関係は、まさに「心と体は一つ」ということを実感させられます。

あなたはどうですか?ストレスを感じると胃腸の調子が悪くなることはありませんか?

ストレスによる胃腸症状と病気の見分け方

ストレスによる一時的な胃腸の不調と、治療が必要な消化器疾患をどのように見分ければよいのでしょうか。

まず、症状の持続期間に注目してください。ストレスによる一時的な症状は、ストレス要因が解消されると自然に改善することが多いです。一方、2週間以上症状が続く場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

次に、症状の進行性も重要なポイントです。症状が徐々に悪化している場合や、新たな症状が加わる場合は、医療機関での検査が必要です。

また、「警告サイン」と呼ばれる以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 血便や黒色便
  • 嘔吐物に血が混じる
  • 急激な体重減少
  • 強い腹痛や胸痛
  • 飲み込みにくさ
  • 発熱を伴う腹痛

これらの症状は、単なるストレスではなく、重大な疾患のサインである可能性があります。

私の診療経験では、「ただのストレスだと思っていた」という理由で受診が遅れ、病状が進行してしまったケースを何度も見てきました。特に中高年の方は、「年齢のせいだろう」と自己判断して放置してしまうことが多いようです。

自分の体の変化に敏感になり、少しでも気になる症状があれば、専門医に相談することをお勧めします。

そして何より大切なのは、定期的な健康診断や検診です。特に40歳を過ぎたら、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査を受けることで、早期に異常を発見することができます。

ストレスによる消化器症状の対処法

ストレスによる消化器症状を和らげるためには、どのような対策が効果的でしょうか。医学的な観点から、いくつかの方法をご紹介します。

生活習慣の改善

まず最も重要なのが、生活習慣の見直しです。規則正しい食事と睡眠、適度な運動は、ストレスに対する体の抵抗力を高めます。

特に食事は消化器の健康に直結します。暴飲暴食を避け、ゆっくりよく噛んで食べることを心がけましょう。また、辛い食べ物や刺激物、アルコール、カフェインの摂取は控えめにすることをお勧めします。

睡眠不足もストレスを増幅させる要因です。質の良い睡眠を確保するために、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。

ストレス管理法

ストレスを完全になくすことは難しいですが、上手に管理する方法はあります。

深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法は、自律神経のバランスを整える効果があります。特に腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、消化器の働きを正常化するのに役立ちます。

趣味や好きな活動に時間を使うことも、ストレス解消に効果的です。音楽を聴く、読書をする、自然の中で過ごすなど、自分なりのリフレッシュ方法を見つけてください。

また、悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に話すことも大切です。時には専門家のカウンセリングを受けることも検討してみてはいかがでしょうか。

食事療法

消化器症状を和らげるための食事療法も効果的です。

胃酸の分泌を促進する食品(コーヒー、アルコール、柑橘類など)は控え、胃粘膜を保護する食品(バナナ、ヨーグルト、オートミールなど)を積極的に摂りましょう。

また、食物繊維が豊富な野菜や果物、発酵食品(味噌、ぬか漬けなど)は腸内環境を整え、ストレスに強い体づくりに役立ちます。

私が患者さんによくお伝えするのは、「一度にたくさん食べるより、少量を頻繁に」という食事法です。これにより胃への負担が減り、消化器症状の改善につながることが多いです。

ストレスと上手に付き合いながら、消化器の健康を守るための生活習慣を身につけていきましょう。

専門医による診断と治療の重要性

ストレスによる消化器症状が長引く場合や、自己対処で改善しない場合は、専門医による適切な診断と治療が必要です。

消化器内科では、問診や身体診察に加え、必要に応じて内視鏡検査、超音波検査、CT検査などを行い、症状の原因を詳しく調べます。

特に内視鏡検査は、食道、胃、十二指腸、大腸の粘膜を直接観察できる重要な検査です。内視鏡技術の進歩により、以前よりも苦痛が少なく検査を受けられるようになりました。当院では、鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」を標準的に提供しており、検査中の苦痛や不安を最小限に抑えています。

診断結果に基づいて、適切な治療法が選択されます。ストレス関連の消化器疾患に対しては、薬物療法、食事療法、生活習慣の改善、心理療法などを組み合わせた総合的なアプローチが効果的です。

例えば、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群に対しては、症状を和らげる薬剤に加え、ストレス管理法の指導も重要な治療の一部となります。

胃炎や消化性潰瘍に対しては、胃酸の分泌を抑える薬や胃粘膜を保護する薬を使用します。また、ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌治療も行います。

大切なのは、症状の原因を正確に診断し、その人に合った治療法を選択することです。自己判断で市販薬に頼り続けるのではなく、専門医に相談することをお勧めします。

当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活背景を丁寧に聞き取り、最適な治療プランを提案しています。また、最新の医療機器と専門知識を活かし、正確な診断と効果的な治療を提供しています。

ストレスによる消化器症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ:心と胃腸の健康を守るために

ここまで、ストレスと消化器症状の関連性について詳しく見てきました。最後に、心と胃腸の健康を守るためのポイントをまとめておきましょう。

まず、ストレスと消化器症状には密接な関係があることを理解しましょう。胃痛や腹痛、下痢や便秘などの症状が現れたら、それは体からのSOSサインかもしれません。

ストレスによる一時的な症状と、治療が必要な疾患を見分けることが重要です。症状が2週間以上続く場合や、「警告サイン」がある場合は、すぐに専門医に相談してください。

日常生活では、規則正しい食事と睡眠、適度な運動、ストレス管理法の実践など、総合的なアプローチが効果的です。特に食生活の改善は、消化器の健康に直結します。

そして何より、定期的な健康診断や検診を受けることで、早期に異常を発見し、適切な治療を受けることができます。

私たち大阪消化器内科内視鏡クリニックでは、最新の医療機器と専門知識を活かし、消化器疾患の早期発見・早期治療に取り組んでいます。特に内視鏡検査は、鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」を標準的に提供し、患者さんの負担を最小限に抑えています。

「胃カメラは辛い・苦しい」というイメージを払拭し、安心して検査を受けていただけるよう、万全の体制を整えています。

ストレスによる消化器症状でお悩みの方、定期的な健康診断をご希望の方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの心と胃腸の健康を守るお手伝いをさせていただきます。

詳しい情報や予約方法については、大阪消化器内科内視鏡クリニックの公式サイトをご覧ください。

著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院