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コラム

ストレスによる胃痛の正しい対処法10選|専門医が解説

胃カメラ

ストレスによる胃痛の正しい対処法10選|専門医が解説

ストレスによる胃痛とは?メカニズムを理解する

現代社会において、ストレスは避けて通れないものとなっています。仕事や人間関係など、様々な要因が私たちの心身に影響を与えています。特に「胃痛」はストレスの影響を受けやすい症状の一つです。

ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れます。自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、胃の働きにも密接に関わっています。

ストレスにより交感神経が優位になると、胃の血流が減少し、胃粘膜を保護する粘液の分泌が抑えられてしまいます。その一方で、副交感神経を通じて胃酸の分泌が増加することがあります。この状態が続くと、胃粘膜の防御機能が低下した状態で胃酸による攻撃を受けることになり、胃痛を引き起こすのです。

胃痛を感じたことはありませんか?

ストレスによる胃痛の特徴と見分け方

ストレスが原因の胃痛には、いくつかの特徴があります。まず、ストレスを感じた後や緊張状態が続いているときに症状が現れることが多いです。

典型的な症状としては、みぞおちのあたりがキリキリと痛む、胃がもたれる感じがする、食欲不振になる、などが挙げられます。また、ストレスによる胃痛は食事の前後に関わらず起こることがあり、時に吐き気を伴うこともあります。

危険性の低い胃痛と高い胃痛を見分けることも重要です。一時的で原因が明確な場合は、危険性が低いと考えられます。例えば、みぞおちが痛むがしばらくすると収まる、一時的に胃の辺りが痛むが繰り返さない、食べ過ぎた後の胸やけや胃もたれなどの症状です。

一方、以下のような症状がある場合は、危険性が高い胃痛である可能性があります:

  • みぞおちの痛みを日常的に繰り返している
  • 胃の辺りに長時間痛みが続く
  • 歩いたり、階段の上り下りで振動が胃に響く
  • 空腹時や食後など一定の条件で現れる痛み
  • 腹部を指で押す、または指を離すと痛む
  • 発熱・下痢・嘔吐などを伴う痛み

このような症状がある場合は、胃だけでなく他の消化器に何らかの病気が隠れている可能性もあります。早めに医療機関を受診することをお勧めします。

ストレス性胃痛から発展する可能性のある疾患

ストレスによる胃痛を放置していると、様々な疾患に発展する可能性があります。ここでは代表的な疾患について解説します。

1. 機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、慢性的な胃痛や胃もたれ、早期飽満感(少し食べるだけでお腹がいっぱいになる感覚)などの症状があるにも関わらず、胃カメラなどの検査で炎症や潰瘍、がんといった器質的な疾患が見つからない状態を指します。

以前はストレス性胃炎などと診断されることが多かったのですが、近年では胃の機能障害による症状と定義されるようになりました。胃痛の大部分は胃潰瘍などではなく、この機能性ディスペプシアであることが多いです。

2. 急性胃炎・慢性胃炎

胃炎は胃の粘膜に炎症が起きた状態です。急性胃炎は突然発症し、慢性胃炎は長期間にわたって症状が続きます。ストレスが続くと、胃酸の過剰分泌や胃粘膜の防御機能低下により、胃炎を引き起こすリスクが高まります。

3. 胃・十二指腸潰瘍

ストレスが長期間続くと、胃酸の過剰分泌と胃粘膜の防御機能低下により、胃や十二指腸に潰瘍ができることがあります。潰瘍は粘膜が深く傷ついた状態で、強い痛みを伴うことが特徴です。

4. 逆流性食道炎

ストレスにより胃酸が過剰に分泌され、その胃酸が食道に逆流することで起こる疾患です。胸やけや胃の不快感などの症状が現れます。

これらの疾患は早期発見・早期治療が重要です。症状が長引く場合は、消化器内科を受診しましょう。

ストレスによる胃痛の対処法10選

ストレスによる胃痛に悩まされている方に、効果的な対処法を10個ご紹介します。日常生活で実践できる方法から医療機関での治療まで、幅広くカバーしています。

1. リラクゼーション法を取り入れる

深呼吸やヨガ、瞑想などのリラクゼーション法は、自律神経のバランスを整える効果があります。特に腹式呼吸は副交感神経を優位にし、ストレス緩和に役立ちます。

私の臨床経験では、1日10分程度の深呼吸を取り入れるだけでも、胃の症状が改善する患者さんが多くいらっしゃいます。

2. 食生活の改善

胃に優しい食事を心がけましょう。具体的には、脂っこい食事や刺激物(辛い食べ物、アルコール、カフェインなど)を控え、消化の良いものを少量ずつ、ゆっくりと食べることが大切です。

胃痛がある時は特に、うどんやお粥などの消化の良い食事がおすすめです。

3. 規則正しい生活習慣

不規則な生活はストレスの原因となり、胃痛を悪化させることがあります。規則正しい食事と睡眠を心がけ、生活リズムを整えることが大切です。

特に、十分な睡眠は自律神経のバランスを整えるために重要です。7〜8時間の質の良い睡眠を確保しましょう。

4. 適度な運動

適度な運動はストレス解消に効果的です。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を取り入れましょう。ただし、激しい運動は胃に負担をかけることがあるため、強度は控えめにすることをお勧めします。

5. 市販薬の活用

一時的な対処法として、市販の胃薬を活用することも選択肢の一つです。胃酸の分泌を抑える薬や、胃粘膜を保護する薬などがあります。ただし、症状が長引く場合は自己判断せず、医療機関を受診しましょう。

6. ストレス源の特定と対処

自分がどのような状況でストレスを感じるのか、ストレス源を特定することが大切です。可能であれば、そのストレス源を取り除くか、対処法を考えましょう。

仕事や人間関係など、すぐに解決できない問題もありますが、自分なりのストレス対処法を見つけることが重要です。

7. 温めて血流改善

胃を温めることで血流が改善し、痛みが和らぐことがあります。腹部にカイロやホットタオルを当てたり、温かい飲み物(刺激物は避ける)を飲んだりすることで、症状の緩和が期待できます。

8. 消化器内科の受診

症状が長引く場合や、強い痛みがある場合は、消化器内科を受診しましょう。医師による適切な診断と治療が重要です。

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を行うことで、胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシアなどの診断が可能になります。

9. 漢方薬の活用

漢方薬も胃痛の緩和に効果的な場合があります。六君子湯や安中散などが知られていますが、自己判断ではなく、医師や薬剤師に相談の上で使用することをお勧めします。

10. 心療内科や精神科の受診

ストレスが強く、自分ではコントロールが難しい場合は、心療内科や精神科の受診も検討しましょう。専門医による適切なカウンセリングや薬物療法が、ストレスの軽減に役立つことがあります。

特に機能性ディスペプシアの治療では、ストレスや不安障害などが大きく関わっていることが多く、心療内科的な治療が効果的なケースもあります。

胃痛が起きたときの緊急対処法

突然の胃痛に襲われたとき、すぐにできる対処法をご紹介します。

まずは深呼吸をして、リラックスすることが大切です。ストレスを感じると交感神経が優位になり、胃の症状が悪化することがあります。深呼吸をすることで副交感神経が優位になり、症状が和らぐことがあります。

次に、胃を温めることも効果的です。腹部にカイロやホットタオルを当てることで、血流が改善し、痛みが和らぐことがあります。

また、水分をゆっくり摂取することも大切です。ただし、冷たい飲み物や刺激物(カフェイン、アルコールなど)は避け、常温の水や白湯がおすすめです。

市販の胃薬がある場合は、用法・用量を守って服用しましょう。ただし、症状が強い場合や長引く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

特に以下のような症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう:

  • 激しい腹痛が続く
  • 吐血や下血がある
  • 冷や汗や息切れを伴う胸痛がある(心臓の問題の可能性)
  • 高熱を伴う

胃痛は我慢せず、適切に対処することが大切です。

ストレス性胃痛を予防するための生活習慣

ストレスによる胃痛を予防するためには、日常生活での取り組みが重要です。以下に、効果的な予防法をご紹介します。

バランスの良い食生活

胃に優しい食生活を心がけましょう。脂っこい食事や刺激物を控え、バランスの良い食事を規則正しく摂ることが大切です。また、よく噛んでゆっくり食べることで、消化を助けることができます。

ストレス管理法の習得

ストレスをゼロにすることは難しいですが、上手に管理する方法を身につけることが大切です。趣味や運動、リラクゼーション法など、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。

私の患者さんの中には、毎日の散歩や趣味の時間を確保することで、胃の症状が改善した方が多くいらっしゃいます。

十分な睡眠

質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整えるために非常に重要です。寝る前のリラックスタイムを設けたり、規則正しい睡眠習慣を身につけたりすることで、睡眠の質を向上させましょう。

定期的な健康チェック

胃の不調を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。特に40歳を過ぎたら、定期的な胃カメラ検査をお勧めします。早期発見・早期治療が、重大な疾患の予防につながります。

当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査を行っています。「胃カメラは辛い・苦しい」というイメージを払拭し、快適に検査を受けていただけるよう努めています。

まとめ:ストレスと上手に付き合い、健康な胃を維持しよう

ストレスによる胃痛は、現代社会において多くの方が経験する症状です。ストレスが自律神経のバランスを乱し、胃酸の過剰分泌や胃粘膜の防御機能低下を引き起こすことで、胃痛が生じます。

ストレスによる胃痛を放置すると、機能性ディスペプシアや胃炎、胃潰瘍などの疾患に発展する可能性があります。そのため、早めの対処が重要です。

日常生活では、リラクゼーション法の実践、胃に優しい食生活、規則正しい生活習慣、適度な運動などを心がけることで、ストレスによる胃痛を予防・改善することができます。

症状が長引く場合や強い痛みがある場合は、自己判断せず、消化器内科を受診しましょう。適切な検査と治療により、症状の改善が期待できます。

ストレスとうまく付き合いながら、健康な胃を維持することが、快適な生活を送るための鍵となります。胃の健康に不安がある方は、ぜひ一度、専門医にご相談ください。

当院では、内視鏡専門医による胃カメラ検査・大腸カメラ検査を行っています。鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査で、皆様の健康をサポートいたします。胃の不調でお悩みの方は、お気軽に大阪消化器内科内視鏡クリニックまでご相談ください。

著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院