胃カメラ検査の費用相場は?保険適用と自費の違いを比較
胃カメラ検査の費用はいくらかかる?保険適用と自費の違い
胃の調子が悪いとき、「胃カメラを受けた方がいいのかな」と考える方は多いでしょう。しかし、検査費用がどれくらいかかるのか気になりますよね。
胃カメラ検査は早期胃がんの発見に非常に有効な検査方法です。近年では鎮静剤の使用や経鼻内視鏡など、より楽に検査を受けられる選択肢も増えています。
この記事では、胃カメラ検査にかかる費用の相場や保険適用の条件、自費診療との違いについて詳しく解説します。検査を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
胃カメラ検査が保険適用される条件とは
胃カメラ検査は、一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。保険適用されると、費用負担が大幅に軽減されるため、条件を確認しておきましょう。
胃カメラ検査が保険適用される主な条件は以下の通りです。
- 胃の不調(胃痛、胸やけ、吐き気など)の症状がある場合
- 健康診断で異常が見つかった場合
- 胃の病気の既往歴がある場合
- 胃がんのリスクがあると医師が判断した場合
- 病気の治療を目的として検査を行う場合
つまり、何らかの症状があったり、他の検査で異常が見つかったりして、医師が「胃カメラ検査が必要」と判断した場合は保険が適用されます。
一方、以下のような場合は自費診療(保険適用外)となります。
- 症状がなく、健康診断や人間ドックの一環として検査を受ける場合
- 病気の治療や経過観察以外の目的で検査を受ける場合
症状がない状態で行う検査や、がんやその他の病気を治療する目的以外で行う場合は自費診療になります。健康診断や人間ドックで胃カメラを受ける場合は基本的に全額自己負担となるのです。
胃カメラ検査の費用相場(保険適用時)
保険適用で胃カメラ検査を受ける場合、自己負担額は保険の種類によって異なります。一般的な3割負担の場合の費用相場を見ていきましょう。
基本的な胃カメラ検査費用(3割負担の場合)
胃カメラ検査の基本費用は、2022年度の診療報酬改定後も大きな変更はなく、2025年現在でも以下のようになっています。
- 胃カメラ検査単体:約3,420円(1,140点)
- 初診料:約860円(288点)
- 再診料:約220円(73点)
- 薬剤費:約40円(140円の3割)
これらを合計すると、初診で胃カメラ検査を受けた場合、基本的には4,500円前後の費用がかかります。
追加検査や処置を行った場合の費用
胃カメラ検査中に追加の検査や処置を行うと、それに応じて費用が加算されます。主な追加費用は以下の通りです。
- 鎮静剤(麻酔)使用:約20〜160円(3割負担)
- 生検(組織採取)+病理検査:約3,960円(1,320点の3割)
- NBI/FICE等の特殊光観察:約600円(200点の3割)
- インジゴカルミンなどの染色:約180円(60点の3割)
- ピロリ菌検査:約2,000〜3,000円(3割負担)
例えば、鎮静剤を使用して胃カメラ検査を受け、組織検査も行った場合、初診料を含めて8,000〜9,000円程度になることが多いです。
胃カメラ検査の費用相場(自費診療の場合)
症状がなく健康診断目的で受ける場合など、保険適用外となる自費診療の場合は費用が高くなります。自費診療の場合の費用相場を見ていきましょう。
自費診療の場合の胃カメラ検査の基本費用は、医療機関によって異なりますが、一般的には以下のような相場となっています。
- 胃カメラ検査単体(麻酔なし):10,000〜12,000円
- 胃カメラ検査+鎮静剤(麻酔あり):15,000〜20,000円
- 胃カメラ検査+病理検査:25,000〜60,000円
- 胃カメラ検査+ピロリ菌検査:19,000〜33,000円
自費診療の場合、医療機関によって費用設定が大きく異なるため、事前に確認することが重要です。特に、鎮静剤の使用や生検などの追加検査が必要になった場合は、想定以上の費用がかかる可能性があります。
胃カメラと大腸カメラを同時に受ける場合の費用
胃カメラと大腸カメラを同日に受ける「上下部内視鏡検査」の場合、それぞれ別々に受けるよりも総費用を抑えられることがあります。保険適用の場合の費用相場は以下の通りです。
- 胃カメラ+大腸カメラ(3割負担):9,000〜11,000円
- 胃カメラ+大腸カメラ+病理検査(3割負担):9,000〜30,000円
- 胃カメラ+大腸カメラ+ピロリ菌検査(3割負担):11,870〜15,000円
- 胃カメラ+大腸カメラ+ポリープ切除(3割負担):15,000〜35,000円
同時に受けることで、麻酔が1回で済む、検査時の苦痛が軽減できるなどのメリットがありますが、検査時間が長くなるというデメリットもあります。
胃カメラ検査の費用を抑える方法
胃カメラ検査の費用を少しでも抑えたい方のために、いくつかの方法をご紹介します。
1. 保険適用で検査を受ける
最も効果的な方法は、保険適用で検査を受けることです。胃の不調がある場合は、まずは医療機関を受診し、医師に症状を詳しく伝えましょう。医師が必要と判断すれば、保険適用で胃カメラ検査を受けることができます。
健康診断で異常が見つかった場合も、その結果を持参して医療機関を受診すれば、保険適用になる可能性が高いです。
2. 高齢者医療制度や医療費助成制度を利用する
年齢や収入によっては、自己負担額が軽減される制度があります。
- 70〜74歳の方:医療費の自己負担割合が2割
- 75歳以上の方:医療費の自己負担割合が1割
- 市県民税非課税世帯の方、生活保護受給世帯の方:自治体によっては検診費用が無料になる場合がある
また、自治体によっては胃がん検診として胃カメラ検査を実施している場合があり、低額で受けられることがあります。お住まいの自治体の健康増進課などに問い合わせてみるとよいでしょう。
3. 複数の医療機関で費用を比較する
自費診療の場合、医療機関によって費用設定が異なります。複数の医療機関に問い合わせて、費用を比較検討することで、より安価に検査を受けられる可能性があります。
ただし、単に費用だけでなく、医師の専門性や設備の充実度、鎮静剤の使用可否なども考慮して選ぶことが大切です。
胃カメラ検査で何がわかる?検査の意義と流れ
胃カメラ検査は、食道・胃・十二指腸の内部を直接観察する検査です。この検査によって、どのようなことがわかるのでしょうか。
胃カメラ検査でわかること
胃カメラ検査では、以下のような病気や状態を発見することができます。
- 胃がん・食道がん・十二指腸がん
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胃炎(萎縮性胃炎など)
- 逆流性食道炎
- 胃ポリープ
- ヘリコバクター・ピロリ菌感染
- 胃アニサキス
- 食道裂孔ヘルニア
- 機能性ディスペプシア
特に胃がんは、日本人がかかるがんの中で罹患数、死亡数ともに第3位となっています。早期の胃がんは自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が重要です。
胃カメラ検査の流れと所要時間
胃カメラ検査の一般的な流れは以下の通りです。
- 問診・説明(約10分)
- 前処置(約5分):のどの麻酔や胃の中の泡を消す薬の服用
- 検査(約5〜10分):口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を観察
- 休憩・回復(約15〜30分):特に鎮静剤を使用した場合は回復時間が必要
- 結果説明(約5〜10分):検査直後に簡単な説明、生検を行った場合は後日詳細な結果説明
検査自体は5〜10分程度ですが、前処置や回復時間を含めると、医療機関での滞在時間は1時間前後となることが多いです。鎮静剤を使用した場合は、さらに回復時間が必要になります。
胃カメラ検査を受ける際の注意点
胃カメラ検査を受ける際には、いくつかの注意点があります。事前に確認しておきましょう。
検査前の注意点
胃カメラ検査を受ける前には、以下の点に注意する必要があります。
- 検査前日の夜9時以降は飲食を控える(朝に検査を受ける場合)
- 検査当日の朝は水以外の飲食を控える
- 常用している薬がある場合は、事前に医師に相談する
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は、特に注意が必要
- 保険証を忘れずに持参する
- 鎮静剤を使用する場合は、車や自転車での来院は避ける
特に、抗血栓薬を服用している方は、生検(組織採取)を行う場合に出血リスクが高まるため、事前に医師と相談し、場合によっては一時的に薬の服用を中止する必要があります。
検査後の注意点
胃カメラ検査後には、以下の点に注意しましょう。
- のどの麻酔が切れるまで(約1時間)は飲食を控える
- 鎮静剤を使用した場合は、当日の車の運転や危険を伴う作業、飲酒は避ける
- 検査後に強い腹痛や出血などの異常がある場合は、すぐに医療機関に連絡する
- 生検を行った場合は、結果が出るまで1〜2週間かかることが多い
鎮静剤を使用した場合は、薬の効果が完全に切れるまで判断力や反射神経が低下している可能性があるため、特に注意が必要です。
まとめ:胃カメラ検査の費用と選び方
胃カメラ検査の費用は、保険適用か自費診療かで大きく異なります。保険適用の場合は3割負担で4,500円〜10,000円程度、自費診療の場合は10,000円〜60,000円程度が相場です。
胃の不調がある場合や健康診断で異常が見つかった場合は、保険適用で検査を受けられる可能性が高いため、まずは医療機関を受診して相談することをおすすめします。
胃カメラ検査は、胃がんをはじめとする様々な消化器疾患の早期発見に非常に有効な検査です。特に40代後半以降は、定期的に検査を受けることで、重大な病気を早期に発見し、適切な治療につなげることができます。
検査を受ける医療機関を選ぶ際は、単に費用だけでなく、医師の専門性(消化器内視鏡専門医であるかなど)や設備の充実度、鎮静剤の使用可否なども考慮することが大切です。
当院では、消化器・内視鏡専門医である院長が全ての診察・検査・結果説明を担当し、鎮静剤を使用した無痛の胃カメラ検査を提供しています。経口・経鼻の内視鏡検査を患者様の希望に応じて選択可能で、高性能な拡大内視鏡による大学病院レベルの検査が可能です。
胃カメラ検査に不安をお持ちの方も、お気軽にご相談ください。
詳細はこちら:石川消化器内科・内視鏡クリニック
著者情報
理事長 石川 嶺
経歴
近畿大学医学部医学科卒業 |
和歌山県立医科大学臨床研修センター |
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科 |
近畿大学病院 消化器内科医局 |
石川消化器内科内視鏡クリニック開院 |