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コラム

胃痛は病院の何科を受診すべき?専門医が教える選び方

胃カメラ

胃痛を感じたら何科を受診すべきか

胃痛は誰もが一度は経験する身近な症状です。「食べすぎかな?」「ストレスかもしれない」と軽く考えがちですが、実は重大な病気のサインである場合もあります。

胃の痛みを感じたとき、まず受診すべき診療科は「消化器内科」です。胃や腸、食道、肝臓、膵臓などの消化器疾患を専門的に診る診療科であり、胃痛の原因を的確に見極め、必要な検査・治療を受けることができます。

しかし、症状によっては他の診療科を受診した方が良い場合もあります。胃痛の原因は多岐にわたるため、適切な診療科選びが重要なのです。

私は消化器内科医として多くの胃痛に悩む患者さんを診てきました。その経験から、胃痛を感じたときにどの診療科を受診すべきか、その選び方について詳しく解説します。

胃痛の特徴と考えられる原因

胃痛といっても、その感じ方や場所、痛みの強さや頻度は人によってさまざまです。まずは胃痛の特徴を理解しましょう。

一般的な胃痛の症状には、みぞおちのあたりがキリキリ・ズキズキと痛む、食後に膨満感や不快感がある、空腹時に痛みが強くなる、胸やけや吐き気を伴うなどがあります。

胃痛の原因は実に多様です。食生活の乱れやストレスといった生活習慣に関わるものから、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんなどの重篤な疾患まで考えられます。

特に注意が必要なのは、黒い便が出る、白っぽい便が出る、血便が出る、吐き気・嘔吐が続く、体重が減少しているといった症状を伴う場合です。これらは何らかの消化器疾患に罹患している可能性が高いため、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

胃痛が引き起こされる主な原因としては、バランスの偏った食生活、不規則な生活、睡眠不足、過度な飲酒、喫煙、精神的ストレスなどが挙げられます。

あなたは最近、胃の調子が優れないと感じることはありませんか?

胃痛を感じたときに受診すべき診療科

胃痛を感じたとき、どの診療科を受診すべきか迷う方は多いでしょう。症状の出方によって適切な受診先も異なります。

基本的には「消化器内科」を受診するのが最適です。消化器内科では、胃カメラ(胃内視鏡検査)や超音波検査などを用いて、胃の状態を直接確認することができます。

消化器内科を受診すべき場合

以下のような症状がある場合は、消化器内科の受診をお勧めします。

  • 飲食による症状の悪化・改善がある
  • 下痢や嘔吐を伴う
  • みぞおちを押すと痛い
  • 胃痛が1週間以上続く
  • 食事のたびに痛みや不快感がある
  • 体重が減ってきた
  • 胃薬を飲んでも改善しない

消化器内科では、問診や触診による初期診断に加え、必要に応じて内視鏡検査(胃カメラ)や超音波検査、CT検査などを行います。

一般内科を受診すべき場合

症状が軽度であったり、初めての胃痛であったりする場合は、まずかかりつけ医や一般内科を受診するのも良いでしょう。一般内科でも基本的な診察や検査を行い、必要に応じて消化器内科などの専門科へ紹介してもらえます。

救急外来を受診すべき場合

次のような症状がある場合は、緊急性が高いため救急外来を受診しましょう。

  • 我慢できないような強い痛みが突然生じた
  • 強い痛みに伴って、冷や汗や意識障害、血圧低下などが見られる
  • 胸痛や背中の痛みも伴う
  • 強い痛みが持続している

これらの症状は、急性膵炎や腸閉塞、虫垂炎などの緊急性の高い疾患の可能性があります。

循環器内科を受診すべき場合

胃痛と思っていても、実は心臓の問題が原因である場合もあります。以下のような症状がある場合は、循環器内科の受診を検討しましょう。

  • 動悸や胸の痛みを伴う
  • 体を動かすと痛みが悪化する
  • 左肩や顎などの痛みも伴う

みぞおちの圧迫感、絞扼感、灼熱感のような痛みがある場合は、心臓の病気のおそれがあります。

あなたの胃痛はどのような特徴がありますか?症状に合わせて適切な診療科を選びましょう。

胃痛から考えられる主な疾患

胃痛が長期的に続いている場合や、他の症状を伴う場合には、さまざまな疾患が考えられます。ここでは主な疾患について解説します。

胃・十二指腸の疾患

胃痛の原因として最も多いのが、胃や十二指腸の疾患です。

慢性胃炎は、胃の粘膜が炎症を起こしている状態で、ピロリ菌感染や薬剤、ストレスなどが原因となります。胃もたれや胃痛、食欲不振などの症状が現れます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸によって胃や腸の粘膜がただれてしまう病気です。空腹時に痛みが出やすく、進行すると出血や穿孔を起こすこともあります。

機能性ディスペプシアは、胃カメラなどで明らかな異常がないのに胃の不快感や痛みが続く状態です。ストレスや自律神経の乱れが関係しているとされています。

胃がん

胃がんは初期症状がほとんどなく、進行すると胃痛や体重減少、吐き気、血便などが現れることがあります。定期的な内視鏡検査が早期発見の鍵です。

特に若い女性でのスキルス胃がんには注意が必要です。ピロリ菌の有無に関係なく発症することがあります。

その他の消化器疾患

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こる炎症で、胸やけや胃痛を引き起こします。

胃アニサキス症は、生の魚に寄生していたアニサキスという寄生虫が胃壁に刺さることで、激しい腹痛を引き起こす疾患です。

急性膵炎や急性虫垂炎も、胃痛に似た症状を引き起こすことがあります。これらは緊急性が高いため、強い痛みがある場合は速やかに受診しましょう。

胃痛の原因は多岐にわたります。自己判断せず、適切な診療科で正確な診断を受けることが大切です。

胃痛の診断に必要な検査

胃痛の原因を特定するためには、いくつかの検査が必要になります。ここでは主な検査について解説します。

内視鏡検査(胃カメラ)

胃カメラは胃痛の診断に最も有効な検査です。口や鼻から細いカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察します。

逆流性食道炎、食道がん、胃炎、胃潰瘍、胃がん、十二指腸がんなど、さまざまな病気の早期発見が可能です。また、検査中に組織を採取して詳しく調べることもできます。

最近では鎮静剤(麻酔)を使用した胃カメラ検査が一般的になり、「辛い・苦しい」というイメージは払拭されつつあります。鎮静剤を使用すると、ウトウトと半分眠ったような状態で検査を受けられるため、恐怖心や不安を最小限に抑えることができます。

腹部超音波検査

お腹の表面から超音波を当て、内臓の状態を観察する検査です。胃だけでなく、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓なども同時に観察できます。痛みもなく、放射線被ばくもない安全な検査です。

CT検査

X線を使って体の断層写真を撮影する検査です。胃の周囲の臓器も含めて広範囲に観察できるため、腫瘍の有無や炎症の広がりなどを詳しく調べることができます。

血液検査

炎症の有無や貧血の程度、肝機能や膵機能などを調べることができます。また、ピロリ菌感染の有無を調べる検査や、腫瘍マーカーの検査なども行われることがあります。

これらの検査を組み合わせることで、胃痛の原因を正確に診断することができます。症状に応じて、医師が適切な検査を選択します。

胃痛を感じたときの受診の目安

胃痛を感じたとき、どのような場合に病院を受診すべきでしょうか。受診の目安について解説します。

すぐに受診すべき場合

次のような症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう。

  • 突然の激しい腹痛がある
  • 痛みが徐々に強くなり、持続する
  • 黒い便(タール便)や血便が出る
  • 嘔吐物に血液や「コーヒー残渣様」の物質が混じる
  • 高熱を伴う
  • 冷や汗、めまい、意識障害などがある

これらの症状は、消化管出血や穿孔、急性膵炎など、生命に関わる重篤な疾患の可能性があります。

早めに受診すべき場合

次のような症状がある場合は、緊急ではないものの、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 胃痛が1週間以上続く
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない
  • 食事のたびに痛みや不快感がある
  • 原因不明の体重減少がある
  • 50歳以上で初めての胃痛がある
  • 胃痛の頻度や強さが増している

これらの症状は、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの可能性があります。早期発見・早期治療が重要です。

胃痛は日常的によく起こる症状ですが、長引く場合や他の症状を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。特に、胃がんは初期症状に乏しいため、定期的な検査が早期発見につながります。

あなたの胃の健康を守るためにも、気になる症状があれば、躊躇せずに適切な診療科を受診してください。

まとめ:胃痛は消化器内科を受診しましょう

胃痛を感じたとき、基本的には消化器内科を受診するのが最適です。消化器内科では、胃カメラ検査や超音波検査などを用いて、胃痛の原因を的確に診断し、適切な治療を行うことができます。

ただし、症状によっては他の診療科を受診した方が良い場合もあります。強い痛みや緊急性の高い症状がある場合は救急外来を、心臓に関連する症状がある場合は循環器内科を受診しましょう。

胃痛の原因は多岐にわたります。食生活の乱れやストレスといった生活習慣に関わるものから、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんなどの重篤な疾患まで考えられます。

胃痛が長引く場合や、黒い便、体重減少などの気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。特に胃がんは初期症状に乏しいため、定期的な検査が早期発見につながります。

私たち大阪消化器内科・内視鏡クリニック難波院では、日本内視鏡学会認定の内視鏡専門医による胃カメラ検査・大腸カメラ検査を提供しています。鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査や、最新の内視鏡システムによる高精度な検査が可能です。

胃の健康に不安を感じたら、ぜひ当院にご相談ください。あなたの健康と安心をサポートいたします。

詳細は大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院の公式サイトをご覧ください。

 

著者情報

理事長 石川 嶺

経歴

近畿大学医学部医学科卒業
和歌山県立医科大学臨床研修センター
名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
近畿大学病院 消化器内科医局
石川消化器内科内視鏡クリニック開院