ニキビとは
ニキビ(尋常性ざ瘡)は、皮脂腺の炎症によって引き起こされる皮膚疾患で、特に思春期から若年層に多く見られる症状です。しかし、近年では大人になってから発症する「大人ニキビ」も増えており、年齢や性別にかかわらず多くの方が悩んでいます。ニキビは見た目の問題だけでなく、かゆみや痛みを伴ったり、治ったあとも跡が残ってしまうことがあるため、早めの対処と適切な治療が重要です。
ニキビの種類・状態
ニキビにはさまざまな種類や進行段階があり、それぞれに応じた対策や治療が必要です。主な種類は以下の通りです。
白ニキビ(閉鎖面皰)
毛穴が詰まり、皮脂が中にたまって白っぽく見える初期のニキビです。炎症は起きていませんが、放置すると悪化することがあります。
黒ニキビ(開放面皰)
毛穴に詰まった皮脂が酸化して黒く見える状態です。見た目の印象が悪くなりやすく、気になって触ってしまうと炎症につながることもあります。
赤ニキビ(丘疹性ニキビ)
皮脂がたまって毛穴が詰まり、アクネ菌が増殖して炎症を起こした状態です。赤く腫れあがり、痛みを感じることもあります。
黄ニキビ(膿疱性ニキビ)
赤ニキビがさらに悪化し、膿を伴うニキビです。触ったり潰したりすると炎症が広がり、ニキビ跡が残る可能性が高くなります。
紫ニキビ(嚢腫・硬結)
炎症が皮膚の奥まで進行し、しこりのように硬く腫れあがった重度のニキビです。治癒に時間がかかり、色素沈着やクレーター状の痕が残ることがあります。
ニキビができやすい人の特徴
ニキビができやすい人にはいくつかの共通した傾向があります。以下のような要素が重なることで、ニキビが慢性化しやすくなります。
皮脂分泌が多い
思春期のホルモン変化や脂っこい食事、ストレスなどによって皮脂分泌が増えると、毛穴が詰まりやすくなります。
肌のターンオーバーの乱れ
不規則な生活習慣や睡眠不足、偏った食事などによって肌の再生サイクル(ターンオーバー)が乱れると、古い角質が残りやすくなり、毛穴詰まりの原因になります。
ストレスやホルモンバランスの乱れ
ストレスによる自律神経の乱れや女性の月経周期など、ホルモンバランスの変化もニキビの一因となります。
洗顔やスキンケアの方法が不適切
洗顔のしすぎや摩擦、毛穴を詰まらせる化粧品の使用など、誤ったスキンケアもニキビを悪化させる原因となります。
ニキビの主な症状
ニキビの症状は進行段階や個人差によってさまざまですが、主に以下のような症状が見られます。

- 小さな白い膨らみ(白ニキビ)や黒い点(黒ニキビ)
- 膿をもった膨らみ(黄ニキビ)
- 痛みやかゆみを伴う炎症
- 繰り返し同じ場所にできる
- ニキビが治っても赤みや色素沈着が残る
- クレーター状のニキビ跡ができる
これらの症状が複数混在する「混合型ニキビ」のケースも多く見られます。
ニキビの治療方法
ニキビは軽度のものであればセルフケアでも改善することがありますが、慢性的なニキビや炎症を伴うニキビは、皮膚科での治療が効果的です。
医療機関での治療
皮膚科では、ニキビの状態に応じて以下のような治療が行われます。
外用薬
抗菌作用や角質剥離作用のある薬(過酸化ベンゾイル、アダパレンなど)を使用。
内服薬
抗生物質やホルモン剤(女性の場合)など、体内からのアプローチ。
面皰圧出
専用器具で毛穴に詰まった皮脂や膿を排出。
光治療・レーザー治療
アクネ菌の殺菌や皮脂分泌の抑制、肌のターンオーバー促進。
ケミカルピーリング
古い角質を除去し、毛穴の詰まりを改善。
セルフケアのポイント
医療と並行して、以下のような生活習慣の見直しやスキンケアも重要です。
- 洗顔は朝晩の2回、優しく泡で洗う
- 油分の少ない基礎化粧品を使う
- バランスの良い食事を心がける(ビタミンB群、亜鉛、食物繊維など)
- 十分な睡眠をとる
- 髪の毛や手で顔を触らないように意識する
- 枕カバーやタオルを清潔に保つ
炎症後色素沈着の治療
美白剤の外用
ハイドロキノンやビタミンC誘導体などを含む外用剤が使われます。
時間経過と紫外線対策
自然に薄くなるケースも多く、紫外線対策を徹底することで悪化を防げます。
ピーリングやトレチノイン療法
ターンオーバーを促し、色素沈着を早く排出するために使われます。
にきびでお悩みの方は当院まで
ニキビは一見軽い症状に見えるかもしれませんが、慢性化や悪化を防ぐためには、早めの対処と適切な治療が大切です。「仕方ない」と放置せず、専門の皮膚科での診断・治療を検討することをおすすめします。セルフケアと医療をうまく組み合わせることで、肌の状態は着実に改善していきます。少しでも不安を感じたら、気軽にご相談ください。